VOLTAGE-B study: Nivolumab monotherapy and subsequent curative surgery following preoperative chemoradiotherapy in patients with locally recurrent rectal cancer (LRRC) without previous radiotherapy.
First Author : Takeshi Kato, et al.
背景
局所再発した直腸癌に対し、初回治療時に放射線治療が行われていなければ、フッ化ピリミジン製剤を用いた化学放射線療法後に根治切除が行われることが多い1)。抗PD-1抗体は放射線との併用療法の有効性が示唆されている。そのメカニズムのひとつとして、in vivoでの実験では放射線と抗PD-1抗体の併用により腫瘍細胞での腫瘍抗原の発現亢進およびリンパ節での抗原提示細胞を介した腫瘍特異的T細胞の活性化が起こり、T細胞の腫瘍内への浸潤が増加していたことが報告されている2)。また、放射線と抗PD-1抗体の併用により、放射線の照射範囲外の腫瘍も縮小させることが報告されており、abscopal効果とよばれる3)。
VOLTAGE-A試験では、遠隔転移を伴わないT3-4の直腸癌に対し術前化学放射線療法+原発巣切除にニボルマブが加えられ、病理学的完全奏効割合(pCR割合)はMicrosatellite-stable (MSS)の直腸癌で30%であった4)。同治療の局所再発の直腸癌に対する有効性・安全性を評価する目的でVOLTAGE-B試験が行われた。
対象と方法
骨盤内に局所再発し、再発巣が切除可能な直腸癌患者が対象であった。プロトコール治療としては局所再発した直腸癌に対して化学放射線療法(50.4Gy+カペシタビン 1,650 mg/m2)を行った後に、ニボルマブ(240 mg/body、2週毎)の投与が最大5コース行われ、引き続いて再発巣の根治手術が行われた(図1)。
主要評価項目はAJCC tumor regression gradeを用いたpCR割合および根治手術施行割合、副次評価項目は全奏効割合(ORR)、無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、術前治療としてCRT後にニボルマブ療法を行うことの安全性、プロトコール治療完遂割合と設定された。